ゲド戦記を観て来ました。宮崎吾郎第一回監督作品。
映像はさすがジブリ。実にキレイ。実にきめ細かい。やはり美術・背景のクオリティの高さには感動します。建築物や乗り物の描写は毎度のことながら見事。クモの城はカリオストロの城みたいだったけど(笑)。
で、ストーリーの方ですが、2時間の中に一気に詰め込んだ感じというか、すんごいダイジェスト的というか、登場人物の設定や背景がイマイチよくわからない印象でした。話の展開がきちんと練れていないというか、例えると“わかりにくい企画書”っていうイメージでしょうか(笑)。初っ端からいきなり父殺しだもんなあ。路線としては、ナウシカ、もののけ姫系ですかね。メッセージ性が強くて道徳的なんだけど、なんか全体的に説教臭いっていうか。あ、テルーの唄はあざといけど上手いなあ。聞き入っちゃうもんね。
全体的に伝えたいことを登場人物にストレートに言わせている感が強いかな。説教臭いセリフが多すぎですね。もっと行間で伝えるというか、間接的に伝えていく方が良かったような気がしました。そぎ落としていくことの難しさですかね。
でも、アレンのキレる表情の多さには驚きました。宮崎アニメにも“キレる若者”が出てくるとは、時代の空気を映してますなあ。
かつてのユーミンのアルバムと同様に、ジブリ作品は“時代の空気を映す鏡”というかバロメーター的なものだと個人的には思っているわけで、こういう作品になるっていうのは、今の時代がすごく不安定だってことですね。ブッシュと北朝鮮とイスラエルに観てほしいものです。
願わくば、ジブリには80年代バブルの頃のような前向きでひたすらポジティブな作品を期待したい。それには今の時代の空気が変わらないといかんのかも。“となりのトトロ”とか“天空の城ラピュタ”とか“紅の豚”のような、ああいうHAPPYな作品よカムバック!っと切に思ってしまいました。