「負けに不思議の負けなし」。
まずは慶応の選手に拍手を贈りたい。80分間切れることのないディフェンスの集中力には感服。今年も慶応は観ていて胸が熱くなるチーム。
10年ぶりの対慶応戦敗戦。江原組の負けからもう10年も経つのか、と感慨深かったり。
一方のワセダ。ディフェンスではほぼ互角だったとは思うが、攻撃が不細工、というか自滅。
慶応の気迫と執念が素晴しかったわけだけど、インゴールノックオン2回、不運なスローフォワードと3度のトライチャンスを潰し、前半に比較的イージーなPGを外し、終盤のチャンスであっさりノックオンでは、勝利の女神は微笑まんわな。
プレーの選択にもかなり疑問。
後半35分に、慶応が立て続けに反則してチャンスなのに、敵陣深くタッチキック→ラインアウトを選択せず、いきなりタップキックからの速攻で横に回すだけのパス→挙句の果てにノックオンで万事休す…焦って自滅するパターンは、06年度の大学選手権決勝戦のデジャヴか。
パス攻撃も良いけど、ただ順目に廻しているだけじゃあ、慶応ディフェンスの餌食になるだけなんだがなあ…もっとタテを突くとか、アングルチェンジするとか、フォワードで崩すとか、攻撃に工夫がほしかった。
気になった2つのこと。
後半残り10分で、ワセダの選手の足が止まったように感じたこと。ワセダが走り負け???慶応の方がスタミナがあるように見えました。
そして、ラックでやけにターンオーバーされるのが目立つこと。1人で孤立してしまい、フォワードの寄りが遅いのか、ブレイクダウンが弱いのか?早明戦に向けて大いに不安材料。
08年度豊田組以降に顕著な「ナチュラル・ボーン・ラグビー」。
才能集団が個人技で行くのも良いけど、劣勢を跳ね返す冷静さや精神力の強さが欠けてきているような…ワセダの伝統である「したたかさ」や「試合巧者」ぶりが、きちんと継承されていないことを危惧します。
昨年の大学選手権2回戦の時のような「完敗」ではないだけに、十分建て直しはできるはず。この敗戦を糧に、早明戦では策のない正攻法ではなく、したたかな戦いぶりを期待したい。
有田組にはまだまだ伸びしろがあるところを見せてくれ!
早稲田8−10慶応